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【 VOL.24】 『いつか読書する日』  
     
 
 

遺伝
 
『いつか読書する日』

 本が好きだ。

本が大好きで、手に入れた本は全て捨てられなかった父の死後、その大量のひきとり手のない古本を処分するのが、本当に大変だった。
心身共にクタクタになったのに懲りて、自分の子等を同じ目に合わすまいと自身の蔵書もかなり思い切って整理した。
そして以降、なるべく図書館を利用する事、購入と同時に処分にも気を使う事を心がけた。

しかし、いくら気をつけていても本はジワジワと増殖し続けるのだ。
気に入って持ってるからと言って、読み返す確率は決して高くない。
それどころか手に入れても読まないまま、本は縦に横に増え続ける。


先日の地震の時、棚からボコボコ落ちる本に悲鳴を上げた。
この際、必要に迫られ増えただらしなく歪んだ手製の棚や箱をスッキリさせようと、思いきってプロに頼んでリビングの壁の一面を床から天井まで全部本棚にしてもらった。

この本棚が完成し、収めるものを収めて初めて気がついた。

私は本を読む事が好きだが、本を眺める事がもっと好きなのだ。
眺めながら広がる妄想が止まらない。
昼に夜に眺めては、過去にそれを読んだ頃の感情を思い出し、これから読もうとする気持ちを楽しみ、もう一度読めば理解できるかもしれないという甘い期待を抱く。
いや、これはウソ。
そんな事も何も考えないで、ただ眺めてニタニタしているのだ。
これはもしかしてミニカーを棚ぎっしりと並べているコレクターの心理に近いものかもしれない。

 私は本が好きだ。

今夜も棚に並んだ本を眺めてお酒をチビリチビリ、又、チビリチビリ。
だいたいがこの酔眼では、本を眺める事は出来ても読む事なんて出来やしないのだ。

2011.8.30
追分 めぐみ
 
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