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【 VOL.29】 「ただ生きて ただ作る」  
     
 
 

あっち
 
「ただ生きて ただ作る」

  友人からのメールに書かれていた言葉だ。

どうにもこうにもヤル気がでず、だましだまし振り絞るように陶器を作ってみてもすぐにどっと疲れてしまう、そんな繰り返しの毎日だった。
そんなところに起こった地震。
節電、自粛ムードの中で中小零細企業の人達が苦労してモノ造りをしている姿をテレビで見た。
こんな時に自分ごときが電気を使って陶器を作って良いのだろうか?
そんな思いも抱いたのは事実だが、これは真実ではない。
本当はヤル気のでない自分の状態を正当化させる、真っ黒な嘘だった。

何の為に作るのか分からなくなってしまっていた。
「作らなくてはならない」という思いばかりが空回りしてしまう。
しかし、なんで作らないといけないかがわからない。
息切れしてくたびれて、全て投げ出してしまいたい。
そうだ、止めてしまえばいいんだ。

仕事場は元々玄関であったところに付け足したようにある。
現玄関は仕事場を通らないと行き着けない。
つまり仕事しない日々であるのにもかかわらず、私は毎日毎日、仕事場を行き来したのだ。
行き来する度に心の中で何かに「ちっ。」と毒づいていた。
それでも無視しようと思えばできてしまった。
こうして6ヶ月、私は土に全く触れなかった。

中途半端な気持ちで再び土に触れるもんか、と一人うそぶいていたが結局何かが見つかったわけではなかった。
ただ、「作りたい。」と思った。
頭は空っぽのまま、昨日の続きのように粘土に向かう。
3日4日続けて仕事をする内に心のささくれがとれていくような気がした。
ここに戻ってくるのはわかっていた、気がする。
知りたかったのは戻るのに何ヶ月かかるかだった、気がする。
この期間、自分がとてもさびしかったんだと分かりたかった、気がする。

それでも、やっとともった小さい炎が消えないようにそろりそろりゆっくりと、そうしてさらに1ヶ月、そうしてさらに1ヶ月。 

  「ただ生きて、ただ作っている。」    

2011.11.15
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