追分めぐみ   サイトマップ  
exhibition message essay gallery contactus shop
展示会情報

 
【 VOL.34】 賢者のつぶやき  
     
 
 

海に浮かんだ月
 
賢者のつぶやき

ある賢者のつぶやきで「創」の字に『傷』という意味のある事をこの歳にして知った。
「ああ、だから『絆創膏』なのだ」と今更、納得する。
『創造は創(きず)を造ること。』とも書いてあったその「つぶやき」を読んで「君の作品は創造とは言わない。」と言われた気がした。

学生時代、初めての課題で作った鉄絵を施した湯呑みを見て、先生が「唐津の絵は無垢、君のは無知やなあ」と、カラカラと笑った。
確かに何の考えもなく当時から◯や□や△を描いていた私の絵は、禅僧の◯△□とはほど遠い、無知無謀の結果だったろう。 
「君は足で陶器を作っているのか?」同じ先生にこういわれた時はもう4年生になっていた。
それ程、いつまでたっても神経の足らない作品を作っていた。
同じように「やりっぱなし」に見えるのに何とも味があり、その歪みさえも魅力的な誰かの器と無神経としか見えない私の器。
あれから30年以上たっても自分の作品の神経の足らなさは分かるのだが、どこをどうすれば「無知」が「無垢」となるのか未だにわからない。
いっそ、このままの「無知」を居直って本当に足で作れば、もっと迫力ある作品が作れるかもしれないとも思うのだが、これも簡単では無い事を実はすでに経験済みだ。

たとえば、板谷波山のような技術を極めた作品も大好きではあるが、私がその道を進めるはずもないし、進もうという気にもならない。

できる事なら李朝の陶器のように、その日その日の気の向くまま、歪めばそれもそのまま許してしまっているかに見える、大らかで自由で呼吸しているような、そんな作品を作りたい。
日常のありきたりの喜びや驚き、そんなささいな心の動きがそのまま形となったような作品を残したい。
そして、そういう作品を作る時間も含む「普通の日々」を過ごしたい。


いまだにこんなところでグズグズしてる私にむかって、どこかからカラカラと笑い声が聞こえてくる気がした。


2012.1.30
追分 めぐみ
 
preview List next
 
CSE YOUSEE VERASHOP
COPYRIGHT Creative System Engineering Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED.